COOK MAGAZINE

豊橋みやげの代名詞。ヤマサちくわの「本物」へのこだわりを味わうべし。

2019.12.23
COOK MAGAZINE
REPORT / ヤマサちくわ株式会社

突然ですが、「ちくわ」と聞いて、何を思い浮かべますか。

おでん? 今の季節に最高ですね。
天ぷら? うどんに添えたい派です。
磯辺揚げ? ビールのつまみにしたい。

ヤマサ? ……あなた、もしかして豊橋の人ですか??

そう、豊橋でちくわと言えばヤマサ。ヤマサと言えばちくわ。食卓で出されることはもちろん、贈り物としても大人気。豊橋市民に「おすすめのお土産ありますか?」と聞けば「ヤマサのちくわでしょ!」と高確率で返ってくるほどです(回答には個人差があります)。

豊橋駅に入れば、

ヤマサの看板がドーン! と

ここにも

まだあります

お土産屋さんにも専用コーナーが

地元民に愛され、ちくわをお土産にまで浸透させたヤマサちくわ。いったいどんな会社で、どんな風にちくわを作っているんだろう・・・というわけで、行ってきました! ヤマサちくわ本社工場。そこは原料、人、技術、全て「本物」だからこそ生まれるという「旨さ」へのこだわりに満ちていました。


人手と手間をかけた入魂のちくわ

工場に入ると、まず目に飛び込んできたのは積み上げられた魚。聞けばシログチと呼ばれる白身魚で、旬である冬の時期は刺身でも美味しいとのことです。みずみずしい切り口から、さばかれて時間が経っていないことが分かります。

これを・・・

こうして・・・・

すりつぶせば・・・

そう、ちくわの原料です!

一般的なちくわに使われる魚の多くは遠洋の船上ですり身にし、冷凍されたものを保存して使うそうです。また味を整えやすくするために、使う魚は基本的に1種類だとか。

ところがヤマサちくわでは大体5,6種類の魚をブレンドして使っています。季節ごとに一番美味しい旬の魚を仕入れ、冷凍せずにその日のうちに職人の手によってさばく。そして他の魚と塩を混ぜて味を整えていくわけです。それにより、臭みがなく、弾力・歯ごたえが全く違う、あの「ヤマサのちくわ」が出来上がるわけです。

しかし、この「おいしいちくわ」を作るのは本当に難しい!毎回、脂の乗りや水分量が違うし、魚のブレンドも異なるわけです。シログチだとプリッとした歯応え、ミナミダラはしなやか、エソやハモなら味に深みがでる、といったそれぞれの特徴を十分に引き出し、それでいて食べ慣れたいつものヤマサちくわの味にしなくてはいけない。

え? そんなことできるの?? できるんです。それが創業190年を超えるヤマサちくわ伝統の蓄積。もちろん配合は企業秘密ですよ!(気になる〜)。

出来上がった原料は特注の石臼で丹念に練っていきます。

ときどき止めて、塩を入れて味を整えていきます。レシピが用意されているわけではなく、職人の勘だけが頼り。この道30年、40年というベテランの舌と手加減がすべてです。

原料には馬鈴薯でんぷんも使うとのことですが、ここにも独自のこだわりがあり、北海道士幌(しほろ)町のジャガイモだけを使用。なめらかな食感の仕上がりになるそうですよ。

さあ、ここから見慣れたちくわの姿へ。

ちくわの原料を鉄串に通し火を通すとこんがりキツネ色に。特注の焼きラインは、炭火で焼くのと同様の効果があるのだとか。白いちくわが次々に焼き上がっていく光景は、なんだかとっても美しい……それにしても、ちくわの香ばしい匂いでヨダレが……。

ラインを流れている最中も熟練の焼き職人が常に目を光らせ、焼き加減をチェックしています。時折、ラインに手を入れ細かく鉄串をひっくり返すその姿は、焼き鳥やうなぎのそれにそっくり。機械任せにせず、最後まで人の手が入っていることが分かります。

仕上げにヤマサちくわのロゴマークを焼き入れすると、

ついに完成ですー!

本社工場では一日約20万本というちくわが作られ、豊橋を中心に全国のちくわ好きの食卓へと届けられています。数だけ聞けば大量生産の加工品ですが、市場に揚がったばかりの魚を手作業でさばくところからの各工程をつぶさに見ると、これは完全に料理。うん、ちくわは魚料理だわ! なんて思わされる工場見学となりました。

組む相手にもこだわる。

徹底的なこだわりで、ひと味もふた味も違うちくわを作るヤマサちくわ。販売方法にも独自のスタンスがあります。基本的に売り込み営業はナシ。誠実に向き合えるお店にだけ卸します。売り場ではヤマサちくわと分かるコーナーを組み、自社のスタッフが陳列や品出しを担当。心を込めた商品だからこそ、自分たちの手で売りたい。その思いが伝わってきます。

豊橋で我が道を行くヤマサちくわ。その長い歴史の中で、今年、初めて他社との共同開発商品が生まれました。それがこの「シャキシャキ野沢菜揚」!

心地よい野沢菜の食感と練りこまれたイカの旨味が口の中にじわっと広がる大人気の一品。実はこれ、クックマートとのコラボ商品なのです。(※2019年分は既に終売。2020年には新たな共同開発商品を計画中とのことですよ!)

組む相手にもこだわるヤマサちくわにとって、クックマートはどんな存在なのでしょうか。ヤマサちくわ株式会社 代表取締役社長 佐藤元英さんに聞いてみました。

佐藤さん
「クックマートさんとの取引が始まったのはそんなに昔じゃないけれど、もともとね、今の社長(白井 健太郎)のおじいちゃんから知っとった。家のご近所さん。うちの隣りが魚屋で、その次が乾物屋、さらにその横に白井さんのおじいちゃんのやってる惣菜店があって。よく小銭を握り締めて、おじいちゃんの揚げたハムカツやコロッケを食べにいったもんだよ。

今のクックマートは、どこかおじいちゃんのやってたお店と似てるところがある。お客さんに近くてフレンドリーで。当時の商店街はなくなっちゃったけど、クックマートさんがそれを再現してくれているように感じるね。新鮮な野菜とかお魚が並んで、あったかくて美味しいお惣菜があって。社員もみんな元気だよね。」

おおらかに笑う佐藤さんは、生まれも育ちも豊橋の生粋の豊橋人です。豊橋市の商工会議所副会頭や観光コンベンション協会会長としても飛び回り、市内小学校では「ちくわ教室出前授業」を開催するなど、地元とちくわに全力投球。クックマートと組んだ理由をお聞きしました。

佐藤さん
「クックマートさんは普段使いのスーパーだからいいよね。一週間の食料をまとめて買うようなアメリカ式とは違う。豆腐3丁買って、使い切ったらまた行くぐらいのローテーションのお店。やっぱり、これぐらいの頻度で行くお店じゃないと本当においしいものって置けないの。鮮度が命だから。そしてそのいいものを求める地元のお客さんがちゃんとついてる。全国チェーンのスーパーじゃなく、クックマート「が」いい、というお客さんがね。そういう売り場だから、うちのちくわを置いてほしいと思う。

それに、クックマートさんの売り場ってワクワクするんだよね。働いている人からも楽しい感じがすごく出てる。普通のスーパーとは全然違うし、今の路線でどんどんやって欲しいなと思います。新商品はもちろん、いろんな企画を一緒にやりたいですね」

その期待と視線の先には、今回の取材に同席した株式会社デライト 代表取締役社長 白井の姿がありました。ともに豊橋で生まれ、豊橋で育ち、豊橋で活動する2つの会社。これからどんなコラボレーションが飛び出していくのでしょうか。今後のヤマサちくわ × クックマートに乞うご期待ください!

左:株式会社デライト 代表取締役社長 白井健太郎 右: ヤマサちくわ株式会社 代表取締役社長 佐藤元英 中:クックマ(ちくわ持ちバージョン)本社工場の前にて。

Photo:Akihito Mizukami(I’M HERE)

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