丸トポートリー食品株式会社
クックマートで大人気の鶏肉「錦爽どり」をご存じですか? ブランド名を伏せたプロの品評会でもかなりの確率で「これはうまい」と絶賛されるという、地域を代表する鶏肉です。
「錦爽どり」を手掛けるのは豊橋を本社とする「丸トポートリー」さん。ある日、丸トポートリー取締役・伊藤正和さんと「錦爽どり」を食べながら、「錦爽どりって、なんでこんなにおいしいんですか?」と伺ったところ、
「その秘密、知りたいですか?」(ドヤ顔)
というわけで、今回、「錦爽どり」のおいしさの秘密に迫るべく、「丸トポートリー」さんを緊急取材させていただくことになりました! 秋晴れのある日、待ち合わせ場所に指定されたのは、「丸トポートリー本社」……ではなく、なぜか「自動車輸入日本一」の豊橋港。
「なぜ、こんなところに……!? 『錦爽どり』いないじゃん! むしろ『車』ばっかり! 鶏はどこ……?」と戸惑っていると、現れたのが先ほどの伊藤さん。
「フッフッフ、来ましたね……『錦爽どり』のおいしさの秘密は実はこの立地にあるんですよ……後ろをご覧ください」
ババーン!
なっ!?
そこにあったのは「丸ト」の紋所が入った巨大な倉庫!
「この紋所が目に入らぬかー!」
思わずひれ伏したくなる圧巻の大きさです。
「なんですか、これは!?」
伊藤さん:「実は我々『丸トポートリー』は家畜のゴハンである『飼料』を製造・販売する『豊橋飼料株式会社』を中心とした、食の総合企業グループなんですよ。飼料生産を中心に、研究開発~家畜育成~食品加工から流通まで、トータルでご提供している全国的にも珍しい会社なのです。『錦爽どり』がおいしいのは飼料から一貫して手掛けていることが大きいんです。鶏をはじめとする家畜は、飼料次第で全く味が変わってきますからね」
飼料の主原料はアメリカから輸入するトウモロコシなんです。トウモロコシはアメリカ東部の穀倉地帯からミシシッピ河、パナマ運河を経て、大きな船に乗せて1か月以上かけてはるばる豊橋港までやってくるんですよ。
「豊橋飼料」がこの立地にあるのは、トウモロコシの輸入・備蓄に適しているからなんですよ。トウモロコシは海からすぐの好立地にある、ここ「豊橋飼料」に運ばれ、サイロと呼ばれる専用の倉庫に貯蔵されます(サイロは1300トンのものが24本、700トンのものが7本と、計31本があります)。
その量は膨大で、船から全てのトウモロコシを降ろすのに「アンローダー」という巨大なマシーン(高さ23m, 全長40m!)を使って3日間もかかります。
飼料は、トウモロコシをベースに、「大豆粕」「菜種粕」「ごま油粕」など、様々な副原料を調合することで作られています。
家畜は「どのタイミングでどの餌を食べるか」で成長の仕方やおいしさが全く異なってきます。「豊橋飼料」ではこの飼料のブレンドに独自のノウハウを持っており、どういう飼料をどのタイミングで与えればおいしい鶏肉になるか、熟知しているのです。
風と光がよく通る清潔な鶏舎
伊藤さん:「錦爽どりのおいしさの一端が垣間見られましたか? 飼料の秘密がわかったところで、次はいよいよ鶏の農場をご覧いただきます。今回ご案内するのは豊川市北部にある『東上農場』です」
一転、海から山へ。車で約50分。
見えてきたのは「錦爽どり」の鶏舎です。
風通しがよく、光がよく届く鶏舎が整然と並んでいます。
中をのぞくと、鶏、鶏、鶏……!
ここ、東上農場では10棟の鶏舎があり、1棟につき5,000羽、合計5万羽の錦爽どりが育てられています。
丸トポートリーではこのような農場を全国各地で展開しているのです。
ヒヨコの段階でこの農場にやってきた錦爽どりは、成長段階に応じて配合を変えた飼料を食べ、どんどん大きくなっていきます。
はじめはこんな感じ(約40グラム)だったヒヨコが…
わずか45日後にはこんなに立派(約3キロ)にまで成長するというから驚きです。
養鶏のポイントはとにかく「清潔さ」。
こだわっているのは「水と空気をキレイにし、光がしっかりと射すようにすること」と「数値管理・マニュアルだけでなく、実際に鶏の様子をよく見て、早め早めに違和感に気づけること」。ここを疎かにすると鶏が病気になってしまうそうです。
成長の段階に合わせ、与える飼料も4段階に変化させ、本当にきめ細かく見守っているのが伝わってきます。
45日間かけて育成・出荷したあとは、空になった鶏舎を30日間かけて徹底的に清掃・乾燥し、その上で次のヒヨコを迎え入れているそうです。
本当に細かな調整の積み重ねで、あんなにおいしい錦爽どりができているのですね!
こだわりの「手ばらし」「外はぎ」
さて、農場の後は、いよいよ、丸トポートリーさんの本社工場に潜入です。
ここでは農場から出荷された錦爽どりが運び込まれ、丁寧に解体されていきます。
丸トポートリーの大きな特徴が、「手ばらし」「外はぎ」という手間暇かけた解体工程です。
最近では、効率を優先して機械による解体が主流になりつつありますが、丸トポートリーでは職人の手で、しかも外側から丁寧に解体することで、肉も内臓も本来の形のまま、ばらすことにこだわっています。
機械による解体では内臓を抜いてから処理するため、肉の内側から水分を含みやすく、鮮度が落ちるのですが、内臓が入ったまま解体する「外はぎ」は冷却過程でも水が透き通っており、鮮度面・安心安全という意味でも優位です。
工場内を拝見すると、本当に多くの職人さんが一つ一つ丁寧に解体し、モモやムネなどの部位に分けていきます。その手際の良さは流れるようです。
一通り工場を見学させていただき、会議室で改めて伊藤さん。
「どうでしたか? 錦爽どりのおいしさの秘密がわかっていただけましたか?」
我々:「いや、もう、錦爽どりというか、丸トグループさんの凄さがよくわかりました。あと、伊藤さんの『錦爽どり愛』がめちゃくちゃ伝わってきました」
伊藤さん「いやあ、そんなことないっすよ(照)」
このような貴重な機会をいただけた丸トポートリーの皆さん、豊橋飼料の皆さんに感謝です! これからも「錦爽どり」のおいしさの秘密をしっかりお客様にお伝えしていきます。
最後に、丸トポートリーの長田社長を中心に、クックマと一緒に記念撮影。
Photo:クックマガジン編集部
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